ムラのある街を飛び出して

関西で生まれ育った私が,東京暮らしを始める話。観劇記録が多めです。

髑髏城の七人 Season月(上弦・下弦)そのに

上弦 … 2018-01-19 ソワレ
@ IHI STAGE AROUND TOKYO

下弦 … 2018-01-24 マチネ
(ライブビューイング)

髑髏城の七人 月 (K.Nakashima Selection)

髑髏城の七人 月 (K.Nakashima Selection)

前回に引き続き、髑髏城《月》上弦・下弦の感想を書いていきたいと思います。

書くことが多すぎて、なかなかまとめられないうちに《月》公演は無事千秋楽を迎え、そしてドクロのあとの公演情報も解禁されましたね!

大好きなメタルマクベス。再演されないと思っていたので、めちゃくちゃ嬉しいです!

しかも髑髏城に引き続き、メタルマクベスも【disc1】【disc2】【disc3】の3作連続上演で、幅広いキャスト陣が発表されました。
実は今回のメタルマクベス、私の同級生がキャストとして出演したりしています。はやく観たいな〜!

というわけで、話を《月》に戻します。

《月》のあらすじはこちら↓

*《風》の感想はこちら↓

私が観たのは、渡辺いっけいさんが体調不良でお休みされていた日だったので、上弦・下弦ともに千葉二郎衛門となっています。


以下、ネタバレ注意






〈上弦〉
さらさらロングストレート率が高すぎて、カーテンコールでおののきます。まさに“超”ワカドクロ! キャラ作りも一新されていて、目が離せない舞台でした。

〈下弦〉
声優は“声”のプロ。その考えを改めました。ええ声してる人が姿を現したら、もっと良いものにしかなりません。なんでみんな、あんなに多才なのか? とても濃い舞台でした。

まずは、かつて信長に仕えた3人の感想から。

・捨之介
今回の捨之介は、最後まで天魔王を救おうとします。一生懸命にもがく二人の捨之介は、同じ脚本のはずなのに、全く違う仕上がりでした。

そして、斬鎧剣を使っての戦闘がめちゃくちゃ格好良い! 第六天にいる天魔王を下界に引きずり落とすため、斬って斬って斬りまくります。仕掛けが一つじゃなくて、まるでマトリョーシカのように、次々と仕込み刀が出てくるんです(伝わるかしら?)。冒頭の『天魔王誕生』はここに繋がるのね〜!

上弦…福士蒼汰
超ワカドクロの顔。朝ドラの種市先輩が大好きだった私は、番傘で見得を切る福士さんにノックアウトされました…!

ワカドクロの小栗捨之介や、三浦春馬が演じた明智心九郎(ジパングパンク)の勢いある演技にも驚きましたが、若々しくて純真な捨之介はなんとも新鮮。

殺陣は、呼吸するように自然と刃を動かす早乙女天魔王や、しなやかに舞う三浦蘭兵衛に挟まれると、福士捨之介の動きには少し重みがあるように感じました。
ただ、小姓であった蘭兵衛や“人の男”と違い、“地を這う”男だったことを考えると、粗野な太刀捌きをしている方がらしいといえばらしいのかもしれません。

休演者がいることを受けて、アドリブで「おれは大丈夫だー!」と叫んだり、贋鉄斎に渡す紙を間違えたりと、ちょいちょい素の姿が見えて可愛かったです。

霧丸との掛け合いがものすごく良かった! 男女設定が好きだったのですが、この組み合わせの方がしっくりくるかもしれない。

2回公演の夜に観に行ったので、終盤の滑舌がお疲れな感じで、少しもったいなかったです!

なんにせよ、これが舞台初主演。というより初舞台とは思えませんでした。突然のキャスティング変更にも『上と下がくっついて、ひとつ(の月)になる』と言いきれるあたり、もう立派な座長さんだなぁと感じました。
また舞台で観られることを楽しみにしています!

下弦…宮野真守
終始、笑顔が溢れています。ライブビューイングで観たので、画面に映っていないのに、宮野さんの笑い声だけが常に聞こえてくるという不思議な体験。

前回観たイズミル王子(王家の紋章)は馬鹿笑いするようなキャラではないので、かなりギャップがありました。

ただ一口に“笑う”とはいっても、笑い方は多様で、どの場面でも違和感がないんです。ニヤついた笑みを浮かべたかと思えば、自嘲するように声を漏らしたり。とにかく表情が豊かでした。下弦はライブビューイングにしておいて正解だったかもしれません(上弦はオペラグラスを必死にのぞきました)。

それにしても、宮野捨之介は本当に死に急ぎます。蘭兵衛や天魔王に色々と語り聞かせるにもかかわらず、捨之介自身の危うい一面も要所要所で垣間見える。

死んじゃだめ!と太夫たちが説得するのに、髑髏城を逃れた後、家康たちに囲まれた捨之介は明らかに生きることを諦めていました。
本人の台詞にもありますが、過去を乗り越えたつもりでいながら、ちっとも捨てきれてないんですよね。

今までの髑髏城には、捨之介が天魔王(=“天”)に斬鎧剣を突き立てるという、いわば過去を切り捨てる場面が含まれていたのですが、演出の変更に伴って、“天魔の鎧”を剥ぎ落とすだけに変わっています。

過去を引きずったままだからこそ、追い詰められた捨之介が、終わりを覚悟していてもなんら違和感がない。むしろ、こちらの方が“格好良いヒーロー”というよりも、人間味があって感情移入しやすかったかもしれないです。

そして憑き物が落ちてからは、また顔つきが変わるという。
これからもどんどんミュージカルに参加するんでしょうね。色々な役を観てみたいです!

・天魔王
“人の男”から天魔王になるまでが描かれます! その代わり、敦盛はありません。天魔王様に月を見てほしかった…。

この役は、上と下で全く性格が違うように感じました。髑髏城にずっと関わってきた早乙女くんと、初参加の鈴木さんでは、解釈が違ったのだと思います。練習は同時進行だったことを考えると、ここまで違う役になったのは不思議ですね!

上弦…早乙女太一
新感線の舞台では、早々に退場することが多かった早乙女太一。満を持しての天魔王役です!

インタビューには、染様と森山未來の影響を受けていると書かれていましが、実際に観てみると、やはりワカ・鳥で対峙していた森山天魔王の色が強く出ていました。というか、あのイグザクトリー!を間近で見ていたら、頭から離れなくもなるわ。笑

安土城六欲天について語るところから舞台は始まりますが、初っ端から目の演技がすごい。あんな寄り目で迫られたら、まともに戦えなくなってしまいそう。

また、本能寺から逃れた際にできたであろう火傷の跡が両手と首元にあるのですが、それがなんとも不気味です。最初は返り血がこびりついているのかと思いました。鈴木さんの時は気にならなかったのですが、スクリーンで観たからでしょうか?

〈上弦〉を一緒に観た姉は、天魔王の最後の戦闘シーンで、鎧を剥がされていく際の仕草が女性みたいだった!と騒いでいました。

女性的な一面を持っていたと考えると、小姓として信長に仕えていた“人の男”には、忠誠心だけではなく特別な感情があったのかもしれない。寵愛を受ける蘭丸を見て、次第に心が歪んでしまったとしたら。愛ゆえに謀反を企てて、それでも最期ぐらいは、自分だけにかけてくれる言葉があるはずだと期待していたのであれば、本能寺から逃れた“人の男”が、信長に成り代わろうとする姿はなんとも切ないです。

あとは、生駒とのかけあいが良かった! 「生駒がそう言うなら仕方ないか」「聞いてよ生駒〜!」って感じにじゃれる姿は、素直に甘えているようにも見えました。本人が思っていたよりも、生駒の存在は精神的な拠り所になっていたのかもしれない。

殺す覚悟はしていただろうに、自ら首元を切りつけた生駒カナコさんを、驚きの表情で見つめる早乙女天魔。“天魔王”として生まれ変わったはずの“人の男”にも、人間らしい部分がちらちら出てくるのですが、それでも最期は変わることなく、自ら身を投げるという展開に。早乙女天魔には生き続けてほしかったです…!

下弦…鈴木拡樹
ゲスいな、というのが率直な感想です(褒め言葉)。

最初から最後まで、徹底した悪を貫く鈴木天魔王。

あまりの冷徹さが、むしろ潔い。
鈴木さん初見でしたが、舞台を引き締める、存在感たっぷりの役者さんでした!

徹底しているからこそ、その姿に惹かれる者が彼の周りには集まっているわけで。髑髏党の皆さんは、あの残虐さに心酔しているのだと思うと、なかなか怖いですね。
特に、さとみ生駒さんがのど元に刀をぶっ刺したのには驚きました。死に方が「ハイ、生駒喜んでー!」って感じで、狂気を感じます。天魔王様、なんて恐ろしい子…!

〈下弦〉生駒からは天魔王様に対する愛が溢れているのですが、あっさり切り捨てられちゃいましたね。あくまで鈴木天魔王は、自らの野望のために信長を陥れ、戦乱の世を取り戻そうとしているように映りました。

そんな鈴木天魔王を観ていると、捨之介が倒しちゃえばいいのに!と思えてきてしまいますが、宮野捨之介は彼に手を差し伸べます。なんて優しい。

けれど、天魔王はその申し出を受け入れない。というか理解できないんでしょうね。捨之介を道連れにすべく、城から飛び降ります。最後までちゃんと恨ませてくれるよね〜(誉め言葉)。

鈴木天魔が“悪”を演じ切ったおかげで、作品がすっきりまとまっていた気がします。個人的には、上下の天魔王の差が、観ていて一番面白いところでした!

・無界屋蘭兵衛
役柄的には、第一幕は良い役で、第二幕に闇堕ちしますが、どちらの蘭兵衛さんもクライマックスに近づけば近づくほど、どんどん魅力が増していきました。

上弦…三浦翔平
登場シーンは、正直、役のわりに洗練された様子が見られないと思っていました。
しかし、第二幕でその認識は間違っていることに気づかされます。“蘭丸”が顔をのぞかせてからは豹変! 三浦蘭兵衛をまとう空気が、まるで別人のようになります。騙された〜使い分けてただけなのね〜!

三浦翔平は『奪い愛、冬』の康太役が認められての新感線参加だったのかな?と勝手に推測していたのですが、負けず劣らず。そして、殺陣も上手で驚きました。これからもどんどん舞台に出てほしいです!

下弦…廣瀬智紀
当初感情の見えない役柄でしたが、各キャストとの絡みで心情の変化を細かく演じられていて、素敵でした。

そして羽野太夫とのやりとりが、もう恋人同士のそれでしかない。太夫と蘭兵衛がイチャイチャしてるの大好きなんで、あの絡みはすごく良かった!

〈上弦〉は太夫との間に距離を置いているように感じたのですが、〈下弦〉では太夫が大切だからこそ、彼女に嘘をついてから、こっそりと里を抜け出します。本当に、どうして裏切った!でしたよ廣瀬蘭兵衛。この組み合わせでまた観たいなぁ…。

以上、3人の感想でした。
残りのキャストについては、また次回!